「君がそれで何をするのかしらないけど、それは俺が貰った方が人が救われる」


男から笑顔は消え、真剣そうな顔をしていたので私は黙って聞いていた。


「俺の名前教えてあげる。日向 夢月(ヒナタ
ムツキ)。通り名は優しき怪盗」


「は?……そんな通り名知らないけど」


私は思い返してみたが心あたりはまったくない。


しかも、通り名は普通英語が使われる。


「……あ」


一つだけ思いあたる人物が頭に浮かび、私は声を漏らした。


「お、思い出した!?」


男は目を輝かせながらそう聞いてきた。


「アレよね…金あるものから奪い、貧しいものを助ける優しき怪盗…」


「そう!それ!!」


「………と言い張るプレテンダー……日本語に直すと、偽善者」


私がそう言うと男は口をヘの字に曲げた。