水城は一瞬不審な顔をしたが、問い詰めてくるようなことはしなかった。



「水城君、アレって言うのは体育祭のことで、景品て言うのは優勝したクラスに送られる物なんだよ」


クラスメートの1人が水城に近付き丁寧に教え始める。




俺達の学校の体育祭では1・2・3年の3クラスで連合を作って点数を競い合うなどはいたって普通なのだが、もう1つ競い合う物がある。


それはクラスごとの点数だ。


全クラス(全学年合わせた)の中で最も点数を稼いだクラスは『得点王』となり、何か景品が貰えるのだ。


その景品が去年は『二泊三日沖縄旅行券』だった。


おかげで去年の体育祭は最高に盛り上がった。


結局その景品をゲットしたのは3年生だったが。




今年は予算不足でその景品はショボくなるだろうというのが大方の人達の意見だった。




「へぇ~……面白そうだね」


水城は理解したのかふ~んと頷いている。




その姿が何故か気持ち悪く感じた。


何か今まで違和感を感じたことはあったが、話し方を気持ち悪いと思ったことは無かった。




(そう思うのは俺が水城の本性を知ったからなのか…?)