「何、固まってんだよ。もっとキスされたいっていうんだったらしてやるけど?」



水城が意地悪そうに言ったその言葉で我に帰る。




そしてそのまま逃げ出した。




(何だよ!今のは!!)




アレが世にいうディープキスって奴なのか!?


俺がされるなんて思ってもみなかったわ!………じゃない!!


(もしや、自分パニクってる!?)


自分の教室が有る階にようやく辿り着き走ろうとした、その瞬間頭にある風景が浮かび上がる。





それは俺がまだ小さいころ……公園で誰かとキスしている瞬間だった。





思わず足を止める。


身に覚えがない。




「何だよ………今のは……」




俺の小さな呟きは昼休みの騒がしい喧騒の中に紛れて、消えていった。