「…うまい」
途端にそうだろと笑顔になる華鈴。
その笑顔は今まで見てきた笑顔の中で一番屈託のないものだった。
一瞬だけ見とれるが、気付かれないうちにオムライスを食べる作業に戻る。
「あ、ケチャップいる?」
思い出したように立ち上がった華鈴に大丈夫と引き留める。
「もう食べ終わる」
「はやっ」
残りを掻き込んでご馳走様でしたと手を合わせる。
「華鈴って料理できんだな」
「昔から結構作ってたからな〜」
でも、と華鈴は一言おいて空になった皿を見る。
「誰かに作って、しかもこんなにうまいって言ってもらったの初めてだなー」
その顔は本当に嬉しそうだった。
「…なんか悪かったな、家まで来させて」
「それは、俺が勝手にしたことだから気にすんなよ」
言いながら、はいと水と薬を手渡してくる華鈴。
「看病手慣れてないか?」
受け取りながら、思ったことをそのまま口に出す。
すると華鈴は少し眉を下げて笑った。


