「米使っても大丈夫かー?」
台所からの声にいいけどと答える。
本当に作るつもりなのか?
あいつに、作れんのかよ……。
これから出てくるものはオムライスの形をしているのか、それが気がかりだったが立ち上がる気力もなかったのでそのままベッドに腰掛けていた。
数分後出てきたものは、ケチャップライスのうえに卵焼きらしきものが乗ったものだった。
「……だよなー」
華鈴にライスを卵で包むなんて高度な技が使えるわけない。
「何が『だよな』なんだよ?」
そう言って姿を現した華鈴の手には包丁。
ギョッとする。
「これはこうすんだよ」
そう言って持ってた包丁で卵にスジをいれる。
すると中から現れたのは半熟卵だった。
半熟卵は広がってライスを見事にコーティングした。
「うまそう…」
さっきまでお腹は全然空いてなかったのに急に空腹感でいっぱいになった。
「『そう』じゃないから食ってみ?」
渡されたスプーンを使って一口すくって口に入れる。


