「起きねぇと襲うぞ?」
それでも起きる気配なし。
「……生殺しって言葉知ってるか?」
耳元で囁く。
やっぱり起きる気配なし。
「マジで襲うよ?」
警告出してんのに起きない。
…俺は警告出したからな。
「……そのまま起きるなよ?」
その言葉こそが俺の本音だった。
そっと華鈴の唇に口を寄せる。
あと数ミリで触れるというところで華鈴の口が動いた。
「しゅう…」
驚いた。
こんなタイミングで俺の名前が出てくるなんて思わなかったから。
つっても、どうせ、その名前は今の俺のじゃない。
「昔のしゅうはもういないんだけどな……」
華鈴の頬を突つく。
けど嫌そうな顔をしただけで起きない。
そのすべすべでぷにぷにした頬に、毒気抜かれた。
寝込み襲うなんて俺らしくない。


