boyshな女の子





もう空は暗い。


携帯の時計はすでに7時を回っていた。


たぶん今頃母親が「料理が冷める!!」と叫んでいることだろう。




近道しようと途中にある小さな公園に足を踏み入れた。


満足に遊具もないその公園は普段から人気は無いが、暗くなるとまるで何かが出そうな雰囲気があった。




(昔はここでよく遊んだなぁ……)


懐かしい思い出が脳裏に浮かぶ。




遊具は何も無かったけど、一緒に遊んでくれた男の子がいてくれたおかげで毎日ここに来るのが楽しみだった。




だけどその子はある日急にそこにこなくなってしまったのだ。




すでに顔も名前も思い出すことが出来なくなってしまった。




(今君はどこにいるんだ………?)




返事があるわけないと分かっていても俺は尋ねる。




あの時と同じ場所に唯一残っていたブランコを見ながら。