「よかったよ斎川くん」
その日の撮影が終わったところで、俺は監督にそう声をかけられた。
「ありがとうございます」
ニコッと笑うと監督の近くにいた女性たちからキャアと声があがった。
「はい、約束のギャラ」
「あ、紀田さん」
声がした後ろを見ると封筒を持った紀田さんが立っていた。
その封筒は有難く頂戴する。
「それでちょこっと話があるんだけど」
「? なんですか?」
懐に封筒をしまいながら、尋ね返す。
「次の時の撮影も代役頼みたいんだけどいいかな?」
「ああ、別にいいですよ」
「そうか…って早いな!?」
「悩むようなことでも無いですし」
あ、でも……。
「俺学生なんで平日は多分無理ですよ」
「そうか、お前高校生か」
その瞬間スタッフがざわめいた。


