「斎川くん」
そう呼ばれて横を見ると紀田さんが手招きしていた。
「どう? 背の大きさは同じくらいだから大丈夫だと思ったんだけど」
前にこのスーツを着ていた人の話か、と一瞬間を開けてから気付いた。
「大丈夫ですよ」
ほんとは若干幅余ってるんだけどね。
「ならいいや。 実は、監督が呼んでるからちょっと着いてきて」
「着替える前にそっち行くべきだったんじゃ……?」
紀田さんはだいじょぶとしか言わない。
「あっ、あの人あの人。 おーい、監督! 連れてきましたよ」」
紀田さん超フレンドリー。
こんなんでこの人大丈夫なのか?


