「あの子、可愛くね?」



その声に俺はピクリと反応する。


凪が笑ってすぐそんな声が近くから聞こえてきた。


そっちに顔を向けると男が頬を赤らめながら凪を見ていた。


上履きの色からして新入生だろう。




(またか………)




凪に気付かれないよう小さく息を吐き出す。


凪は冗談無くモテる。


俺とは正反対で153cmというチビな身長は、凪の可愛い顔と相乗効果をもたらし男の庇護欲を際限無く煽ることとなる。


中学に入った頃からポツポツと告られるようになったかと思うと、凪は一気に学校一のモテ女の称号を手に入れた。




それは高校に入っても変わらず、さっきも1人から告られたばかりだった。