「この下に降りて行って頂くと、『白浜』っていう海の家があるんですが、そこだと当旅館の方は無料で利用することができます」


「ご親切にどうもありがとうございました」




ぺこりとお辞儀をすると中居さんはいえいえと笑って手を振った。




クルッと振り返って石段を降りて行こうとした時急に肩を掴まれる。




「おわっ!?」




ぐっと頭にだけを後ろに向けると、半ば予想のついたあいつがいた。




「なんで、華鈴パーカーなんだよ?」


「パーカーじゃいけねぇのかよ」


「全然?」



その返答にガクッと肩を落とす。




「いつもの通り我が道を行ってるな、水城は……」




そう……言わずともしれた水城、だ。