《凪side》
(………き、気まずい…)
時を同じくして、水城が隣で悩んでることなど知らない凪も同じことを考えていた。
水城は嫌いな奴。
だけど恩人でもある。
それが凪の感情を混乱させていた。
本当は1秒だってこんな奴と一緒にいたくない。
出切ることなら今すぐ授業に戻れと言ってやりたい。
……出来ればの話だが。
深い溜息を吐く。
そう、出来ないに決まってる。
華鈴をここまで運んでくれた怪我人にそんな扱い出来るはずがない。
ついでに仮にも私も助けてくれた恩人に。
………何でこんな奴に助けられちゃったんだろ。


