じゃあ、何で聞いたのかって? それは、真っ直ぐに見てくる水城の視線に、何も言わずにただ待ってくれるその優しさに根負けしたからだ。 ━━いや、その優しさに流されたというべきか? 昔………いつだったかは思い出せないが、この空気に触れたことがある。 その時もこんな風に、話したくても話せなかったことを自然に聞いてもらえた。 あれは一体誰だったっけ………?