『あんなことしてもし男が襲ってきたらどうすんだよ』
付け足された言葉でようやく何を水城が言いたいのかは分かった。
『んなことあるわけねぇじゃん』
『んなことあるかもしれねぇから言ってんだよ。………あ、喧嘩は論外な』
笑い飛ばすつもりで言ったのに、水城はひどく真剣な目で、俺のことを見ていた。
沢山の感情が入り混じっているように思えたが、その顔は一瞬だったのでそれらを全て汲み取ることはできなかった。
唯一分かったのは俺のことを心配しているということだけ。
それだから『約束だからな?絶対に守れよ』と言われた時、ただ、頷くことしか出来なかった。
俺の答えに満足いったのか再び意地悪な顔になると、破ったら今度こそお仕置きなと言い残して屋上からいなくなった。


