『自分でかけろ、この馬鹿!』
社会勉強だ、と言ってカラオケ店の番号がプッシュ済みの輝の携帯を押し付ける。
輝は俺に蹴られた背中をさすりながら、睨みつける。
『頼んできたのが女だったらお前絶対に引き受けるくせに!!』
『男だったら可愛い女の子の言うこと聞くの当たり前だろ』
『開き直んなよ!』
瞳を潤ませながら言う輝は正直言ってキモイ。
涙は女が使うから武器になるのであって、男が使ったら地雷にしかならねぇんだよ。
『いいから早くかけろよ。みんな待ってんだろーが』
俺が促すと渋々といった様子でようやく耳に携帯をあてる輝。
ここまで来るのに時間かけ過ぎだろ。
というか、今までのやり取りの間に絶対に予約出来たよな………。
((こんなめんどくさい思いすんだったら、最初から俺がやれば良かったかね~))
んなこと言ったら輝が『オレ、蹴られ損!?』と輝がうるさそうなので口には出さないが。


