「おい、馬鹿ッ!!」
俺が華鈴の方に向かって駆け出すのと、男が華鈴を突き飛ばしたのは同時だった。
不意をつかれた華鈴は前方に倒れ込んだ。
それを間一髪受けとめている間に男はさっき取り落としてしまったナイフを拾った。
(くそっ!)
こうなるくらいだったら華鈴が取り押さえた時にでも折っておけばよかった。
今さら、後悔しても遅ぇってことかよ!!
男が奇声を発しながら、ナイフをふりあげ華鈴目掛けて振り下ろす。
━━━━よけるのは、もう間に合わない
そう悟った後は、無意識だった。
華鈴を庇うように抱きかかえるとナイフの軌道に自分の体をねじ込む。
気が付けば、鈍く光るそれは俺の肩に深々と突き刺さっていた。


