《華鈴side》


本当だったら、辞めるつもりは無かった。




男の顔がいくら醜く腫れ上がっても、……たとえ歯が折れたとしても辞める気は無かった。




けれど。




ーーーけれど俺が振り上げたその手は急に動かなくなってしまった。




男の上に馬乗りになったまま振り返り、目を見開いた。




「な、何でお前がここにいるんだ!?」
 
 
「それはこっちの台詞だ。お前一体何やってんだよ?」




後ろにいた輝まで驚いた目で俺の後ろにいる人物ーーー水城を見ていた。