凪は隼人から離れると俺にぶつかるように抱きついてきた。
泣くのをこらえているのか肩が上下に揺れている。
「大丈夫だよ、もう怖い奴はいないから……。だから安心していいよ」
俺は凪のことを抱き締めて頭を撫でた。
凪は安心したのか、俺の服の端を握りしめていた手から力が抜けていく。
「赤澤ッ…!?」
横で見ていた隼人が叫ぶように尋ねる。
「落ち着け、隼人。気失っただけだから」
隼人はハァーッと長いため息をついて、ガラスの散らばる床にしゃがみこんだ。
「いつもだったらここで隼人をからかうところなんだが………」
俺は笑いながら後ろを見る。
そこには目が覚め、逃げようと足掻いている男の姿があった。
「隼人、少しの間凪を頼む」
隼人が凪を抱きとめたのを見てから男を真正面から見据えた。


