「何の音だ!?」
輝が息を切らしながら言う。
「知るかッ!!」
大体の見当はついているが、説明するのが億劫なのでそう返答した。
ーーー多分今の音はガラスが割れた音だ。
このカラオケの個室のドアは中の様子が見えるようにガラス張りになっていたから、大方それが割れた音だろう。
問題はそんな物が割れてしまうような事態が上の階で起きていることだ。
階段を登りきり廊下に足を踏み出したその時、
「どけぇ!!」
鼻血を流した男が現れた。
「矢川!そいつを逃がさないでくれ!!」
困惑している俺に向かってーーー姿は見えないが、隼人が叫ぶ。
俺は反射的に男の首の高さに合わせて腕を出す。
当然、勢いよく走ってきた男は俺の腕にぶつかり「グェッ」と情けない声をあげて床に倒れた。


