抱き締める兄の胸板を何度も何度も叩いた。 叩いても意味ないのに 今はどうにかなる気がしたから‥‥。 兄はただ抱き締める力を強く強くした。 いくら泣いて叫んでも 止まらない 喉の痛みも いまは気持ちを紛らわす快感のように。 「零音‥‥っ」 兄はそれ以上なにも言わなかった。