彼方は切り傷を確認した二人を置いて飛び込み台の頂上に辿り着いた。


「九我ーっ、危ないぞ!」



八部が係員部屋から叫んだが、彼方はまったく気にせずに飛び込み台から下を見下ろした。


そこで照明の明暗を明るくしたり暗くしたりする。



「九我刑事、一体なにをなさっているんです?」



疲れたと言わんばかりの声で十和田が尋ねると、彼方はプールを指差した。



「今プールの水は踝程度までに引いています。

目を細めて見ていてください」


彼方は照明を暗くした。

十和田は言われたとおりに目を細める。



照明が明るくなった。


「水の様子は、わかると思いますか」


「さあ…水面の光しか見えませんでしたが…」


「そういうことです」


「え?」