「兄さん。 そろそろバイキング行こうよ、食べるものなくなっちゃうよー」 テラスから夕日が沈む景色を眺める兄。 黒髪を揺らして肩越しに私を見てから微笑むと、手招きをした。 「なに?」 私は兄の隣に移動し、指差された方、夕日から外れて画面左側に注目した。 砂浜を覆うように建てられたホテル、示された場所には赤い花が綺麗に咲き誇っていた。 まるで燃えるように、夕日に溶けだした絵の具に、色濃くはっきりと在る。