「あの、警察の方がどうして…」


おろおろした様子で五家宝は尋ねた。

「仕事ではありません。

非番で、妹とふたりで遊びに来ただけですよ」


既にテーブルに戻っていた湊を顎でしゃくって見せた。

湊が軽く会釈をする。



「そうですか、安心しました。
また一条がなにかやったんではないかと…」


「……また?」


「ああ、いやいやいや!」



四井はやけに落ち着かない様子。

五家宝が心配そうな眼差しを彼に向けた。


顎髭をさすりながら、四井は続ける。



「どうか聞き逃してください、大したことではないんです」


どの尺度で大したことはないと判断するのかは知らないが、これ以上訊いても答えないと判断し、彼方は「そうですか」と返した。



「どうもご迷惑おかけしました。

五家宝くん、私も自室で休ませてもらうよ」


「はい、四井先生…」



四井は先の3人と同じく、食堂の出口へと真っ直ぐ歩いていった。