「ナオちゃん」

目の前には、ナオヒロがいた。

「カエデ…」

ナオヒロが私の掌を握り締める。
― 温かい。ナオちゃんの掌…


「夢でしょ?これは、夢の続き…」
朦朧とした中、ナオヒロに言った。


「違うよ、カエデ。夢じゃないよ…」

「だって、ナオちゃんが…」


母が泣きながら
「カエデが倒れた!って言ったら、沖縄からわざわざ来てくれたのよ。カエデ、良かったわね…」
母も私の掌を握る。


「そう…。良かった。夢じゃなくて…。ナオちゃん…」
私はそのまま、また眠ってしまった。