「カエデ。約束だからな。いつか必ず見に行こうな、南十字星。それまで俺、待ってるから…カエデとの約束、果たすまで。俺、いつまでも待ってるからな…」

人目も気にせず、私達は空港で抱き締め合った。


私は、ナオヒロの言葉に頷くだけで精一杯だ。


その約束があれば、私は私達は大丈夫。

絶対に、大丈夫!



「カエデちゃん、ナオのこと宜しくな!」
英康も、見送りに来てくれていた。

「はい…」

「また必ず、来いよ。俺もナオとカエデちゃんのこと、待ってるからな。必ず…」

「はい、ありがと。店長…」

「あぁ…」
英康はそう言って、私とナオヒロから離れたところに言ってしまった。


英康は私達に見られない様に、隠れて泣いていたのだった。


― 店長…。ありがと…


それぞれがそれぞれに感じる、なんとも言えない感情。

それが張り裂けそうになると、涙に変わる。

それが良いコトなのか、悪いコトなのかは、誰にも分からない。


ただ誰かの為に泣けると言うコトは、良いコトなのかもしれない…


私は短い沖縄旅行を終え、ナオヒロと英康に見送られながら、家に帰った。


「待ってるから。約束だから」

ナオヒロは私に、何度も言ってくれた言葉。

― その言葉があれば、私は大丈夫。

ねぇ、ナオヒロ…
私達は、大丈夫だよねぇ…