死の使い方Ⅱ-W/z 4 U-

ナオヒロに、しっかり握られた掌は温かだった。


涙が溢れそうになる。

ナオヒロと繋いだままの掌で、私は上半身を起こし星空を見た。

涙が溢れない様に…


「もったいないんだ~。せっかく、ここでしか見えない星なのに…」
涙声になる、私。
それでも、話し続けた。
「私のいるところも、星がキレイだよ。でも、南十字星は見えないけど、オリオン座とかカシオペアとか北斗七星や北極せ…ぃ」

ナオヒロが、後ろから私を抱き締めた。

「行こうな。一緒に、見に行こうな。南十字星…。必ず、俺が連れてってやるからな。カエデ…約束だよ…」

「ぅん…」
ガマンしていた涙が、月の色に染まりキラキラと輝きながら砂浜に落ちた。

月の雫は、落ちては消え、消えては落ちと、幾度も繰り返した。

それでも砂浜に落ちた雫は、海へと流れていくことはなかった。




「うん…。約束…」

― 私とナオちゃんの約束…