「とにかく、つくまで離すんじゃねーぞ。わかったか?」

「あ…あぁ…」

「行くぞ」




遥のバイクは思っていたよりも
全然遅かった。

たぶんあたしに、
気を使ってくれてんだと思う。


遥は優しい。
あたし、女なのに。

話してくれるし、
遥に触ってるし、
気を使ってくれている。



本当は飛ばしたいと思う。

だって奏、言ってたよ。

『アイツ、意外と海とか好きだからな』
って。

なのに…ごめんね。

ありがとう…遥…。




みんなよりだいぶ遅れて海についた。

「大丈夫だったか?」

「ああ、大丈夫だ。ありがとな」

「行くぞ」

グイッとあたしの手を繋いで、
遥は砂浜に向かって歩き出した。

荷物ッ!!

一瞬そう思ったけど、
繋いでいない遥の右手には
あたしのカバンがあった。

持ってくれたんだ…やっぱり遥は、
優しいヤツ。











手を繋いだ動作があまりにも
不自然なところがなさすぎて、
繋いでいることに違和感は
感じていなかったー…。




砂浜で海に言われるまでは、

全くー…。