黒竜の倉庫に行き、
俺らに気づいた下っ端たちに
挨拶を返しながら、
まっすぐに幹部部屋へ向かう。
途中で、海と奏が言い争いをしていた。
どうせまた、
くだらない内容だろうと思い、
声もかけずに横を通りすぎた。
ノックなんてものはしない。
ガチャッと開けて幹部部屋に入ると、
部屋には純と悠紀の二人がいた。
珍しく何かを真剣に
話しているような様子で、
声をかけるタイミングを掴めず、
少し黙って話に耳を傾けていた。
「生年月日と血液型、身長と体重、それから出身以外何も出てこなかった」
どうやら、悠紀がハッキングで
誰かのことを調べたらしい。
「……は? それだけ?」
珍しく純は驚いている、
そんなような声をあげた。
「それしか出なかった」
ん?それ…しか?
「それって逆に怪しくねえか?」
哲也が口を開いてそう言った。
グットタイミングなのか、
バットタイミングなのか…。
それはわからないが、
ようやく純と悠紀は俺らに気づいた。