夜。


あたしは今日も街に出た。


心なしか、街はいつもより
ザワめいている…気がした。



「おい、お前…蝶華か?」

街を歩いていると突然、

そう声をかけられた。


その声にあたしは、


ゆっくりと振り返った。


「あぁ…そうだ。俺が、蝶華だ」

そう答えると男は、口角を少しあげた。

「やっと見つけた。俺は骸骨の総長、田嶋だ」

「ウワサは耳にしている。何のようだ?」

「おいおい、そんな殺気出すんじゃねえよ。今日は、戦いに来たんじゃねえから」

「…………なんだと?どういう意味だ?」

コイツ…田嶋は、何を考えている?

読めない…。全く…。


「今はヤりあう気はない」

「どのみち負けるクセに?」

「蝶華、骸骨の姫にならないか?」

…………は?

「なんだと? 姫?」

なんでテメェらみたいな薄汚い族に

入らなきゃならねぇんだよ!!

「どうだ? 入らないか?」

「入るわけないだろ?俺が姫? ふざけるのも大概にしろ」

「ふーん…じゃあ、いいや。また近い内に会おうぜ」

「そのときは死を覚悟してくることだな」

ま、殺しはしねぇけどな。














あたしはこのとき、










田嶋の言った言葉の本当の意味を、














わかっていなかったー…。













あんなことになるなんて、














全くー…
















予想だにしていなかったー…。