「鍵、閉めてこい」
「…………ん」
理事長室の扉にガチャッと鍵を閉めた。
「1本だけだぞ?見つかったらヤベェな…」
笑いながらかっちゃんは言った。
「ごめん…」
一言だけ謝ってあたしは、
煙草に火をつけたー…。
そしてかっちゃんも、
煙草をとり、火をつけたー…。
だけど吸うわけじゃない。
万が一のときのための、
“カモフラージュ”だ。
かっちゃん今、禁煙中って
このあいだ、言ってたのにごめん。
だけどあたしは、吸うのをやめない。
「あ〜!! ダメだ。吸う」
少しするとかっちゃんが、
そう叫んで煙草を吸い始めた。
「ごめん」
「いや、いい。お前のせいじゃない。元々、そろそろ限界だったんだよ」
フーっと、煙を口から吐き出す。
「落ち着くな…」
少し、落ち着いてきた。
「言いたくないなら聞かねえけど、いつでも話したくなったら聞いてやるよ。だから、あんまり溜め込むんじゃねーぞ?」
かっちゃんが、突然、
そんなことを言ってきた。
「…………また、大切なモンを失いたくないから。あたしは、あたしが思う道を進むよ。例えそれが、ここにいられなくなる道だとしても…今度こそは、守りたい。アイツらを、あたしなりに…あたしのやり方で、守ってみせるから。かっちゃんは、見てるだけでいてね」
「……………わかった。何かあれば言え。助けてやるよ」
「ありがと」
きっとかっちゃんは、
わかったと思うんだ。
どういう意味なのか…。
ちゃんと…。