ダメだ。
心がザワついて仕方ない…。
落ち着かない。
「悪い。ちょっと…」
「屋上、行くの?」
不安そうに遥の瞳が揺れる。
「行かねぇよ…。トイレ、行ってくる」
「ついて行くか?」
「バッカじゃねえ?変態」
「屋上には行くなよ?」
「あぁ」
大丈夫だって。
今のあたしには、行けねぇから。
教室から出るとあたしは、
一直線に“あそこ”へ行く。
ーガチャッ
「かっちゃん…」
ノックもせずに理事長室へ入った。
「萌奈?どうした?」
「煙草吸わせて…」
理事長にこんなこと言うなんて、
ありえないと思う。
それでも、屋上が使えない今、
ここしかない…。
「萌奈…?どうした?何かあったのか?」
かっちゃんはすぐに、わかってくれた。
“何か”あったのだ…と。
「頼む…吸わせて…」
落ち着かない。
また、壊れそう…。
今度は心だけじゃない。
体までー…。
自ら傷をつけてしまいそうだ…。