「萌奈がね、奏がケガしてたって言ってんだよ!!しかも、理由聞いたら、“バイクで転んだ”だって!!どー思う!?」
海が純に言った。
すると純は、顔をしかめた。
「奏が、ケガ?」
怪訝そうに聞き返した。
「そうなんでしょ?萌奈!!」
「え、あ、うん。顔に絆創膏3つと、ところどころ腫れてたから…、ケンカだと思う。手にも、包帯巻いてたし、足も引きずってた」
奏がヤられるなんて、相当だ…。
「どこ行ったかわかるか?」
「わかんないけど…たぶん…屋上だと思う」
それ以外心当たりなんてないし。
「わかった。海は悠紀に伝えてきてくれ。それから、屋上に来いって言え。遥は、萌奈と教室にいろ。ぜってーくんなよ?海も、終わったら教室で待ってろ」
「あたしも、行…「ダメだ」」
「なんで!?」
「遥、ぜってー逃がすなよ」
「………わかった」
チッ!!
なんで言っちゃいけねぇんだよ!?
ムカつく…。
「来たら殺す」
そう脅して、純は屋上へ向かった。
全く怖くない脅しだったけどね…。
「萌奈、今回ばかりは大人しくしててね?萌奈は絶対に、守るから」
「…………わかった」
大人しく守られるとか、ガラじゃない。
けど、仕方ないんだ。
あたしは今、普通の
“女子高生”なんだから。
仕方のないことなんだよ…。
そう言い聞かせても、
辛いものは辛い。
仲間がヤられたのに何もできない、
違う意味での“無力”さに、
ヘドがでる…。