新学期が始まってから、
1週間が経ったある朝のことだった。
「奏!? ちょっ…どうしたんだよ!?そのケガ!!」
奏が、ケガをしていた。
なのに当の本人…奏は、
普通に教室の自分の席に座った。
「奏!! シカトしてんじゃねえよ!!」
ケンカか!?
「うるせぇな。なんでもねえよ」
「なんでもないのにケガするかー!!!!」
なんかあったからケガしてんでしょ!?
「バイクで転んだだけだ」
奏がバイクで転んだ!?
「んな、すぐバレるウソついてんじゃねーよ!!」
どう考えてもありえねぇだろ!?
奏だぞ、奏!!!!
「ウソじゃねえよ。うるせぇな。黙れよ」
「黙らねえよ!! 何があったか言え!!」
「うるせぇんだよ!!テメーに言ったところでどうにかなんのか!?あ゙!?」
奏は立ち上がって怒鳴ると、
壁を殴った。
壁は軽く凹んだ。
「どうにかな…」
そこまで言ってハッとした。
そうだ。あたしは今…。
“無力”なのだと、思い知った。
「ならない。けど…「だったら黙ってろ」」
そう吐き捨てると、
教室を出て行った…。