ープルルルル

しんみりとした空気の中、
ケータイの着信音が響く。


「あ、ごめん…あたしだ。出てもいい?」

「あぁ」


ディスプレイを見ると、

純からだった。


なんで純…?
電話なんて滅多にこないのに…。


…………………………
……………………
…………


あ゙っ!!!!!!


「やっべぇ…連絡すんの忘れてた…」

一昨日の夜、あれだけ散々
しつこく言われたのに…。

やっちまった…!!!!!!


体から血の気が引いていくのがわかる。


「萌奈? 出ないのか?」

「出ないと、マズイんだけどさ…」

出ても、絶対マズイのよ。

崖っぷちに立たされてます。


「はぁ…諦めて出るか」


「もしもし?」

『遅い。つかお前どこにいる?』

電話にでるといつもの
数段は低い純の声…。


こりゃ、相当ご立腹ですな…(汗)

「…………ごめん。電話すんの…忘れちゃってた」

『今、どこにいる?』

「都内…」

『電話、なぜ出ない?』

「だから、ごめんって…」

『あ゙?』

まじ相当だよ、これ!!

「とりあえず、今日中に帰るから。説教は帰ってから聞くから」

こっちだっていろいろあるんだよ、
とは思ってても、言えない。

その“いろいろ”を突っ込まれたら、
あたしが困るから。


『とにかく、電話に出ろ』

「わかったよ。明日も倉庫行けねぇから」

『あ?なんでだよ』

「疲れたから。倉庫、毎日うるさいじゃん。だから、明日は家で寝てたい」

『…………明日の夕方倉庫に来い』

「話、聞いてる?」

繋がってないんですけど。

つかホント、俺様だな。純。


『明日の夕方5時。いつものところに向かえをよこす』

そう言って純は、電話を切った。