「………で、全てです」

途中、優真の顔が険しくなったりもした。

そのせいか、語尾が
なぜか敬語になっていた…。


「なるほどな。つまり萌奈は、黒竜が好きなんだな」

優真は、

呆れるわけでも、
怒るわけでもなく、

サラッとそう言った。


「好き…だよ」

失った居場所が、黒竜に出来た。
そう感じてた。

ううん、それは過去形じゃなくて…
“感じてる”で、現在進行形。


「あたし、どうしたらいいのかな?」

「萌奈は、萌奈が思うように、やればいいんじゃないかな?確かに、蝶華の萌奈が、たかだか関東№1の暴走族に守られてるとか、そいつらが蝶華に憧れてるとか、前総長が、過去に会ったことあるかもしれないとか、萌奈にとっては、+(プラス)にならないことばかりだけど、萌奈は?萌奈は、どうしたいんだ?そいつらが大切なんだろ?だったら、その気持ちを、優先させればいいじゃねーか。永遠に隠せるなんてこと、死なない限りありえねぇだろうし。だけどな、それが遅いか早いかは、決まってないんだよ。萌奈の行動次第で、どうにでもなる」

「…………そう…だよね…」

ちょっと長かったけど、
優真の言いたいことは、
わかったつもり。

でも…。

「秘密の時間が長ければ長いほど、知ったときの傷は、大きいよ…」

どうせ傷つくならまだ今のほうが…。

「それでも、信じたいんだろ?だったら、信じればいいじゃん。萌奈、本当はもう気づいてんだろ?黒竜は、萌奈にとって蝶竜と同じくらい…「それ以上は言わないで」」

あたしは、優真の言葉をとめた。


その“先”を、聞きたくない…。


「とにかく、俺らのことはいいから。これは、萌奈の人生だろ?楽しめよ」

「…………ぁりがとぉ…ごめんね…優真…」

会ったのが優真で良かった。

他のヤツだったら、
心、こんなに軽くなってないと思う…。