「壱夜(イチヤ)…良かったな。アイツら…お前の好きなモン置いてってくれたぞ。いっぱい飲めよ?」


アイツらに会いたい。

けど、会えない。

会っちゃいけない…。


逃げたあたしに、アイツらに
会う資格はないから。


「あたしな、蝶竜から逃げたんだ。総長としてやんねーとなんねー次期総長も決めねぇで。最低だよな…」

総長失格だ。

「今はな、ケンカもしねぇで、関東№1の黒竜っつー族の、姫なんだ。あたしが、姫だぜ?まじ笑えるよな!蝶華のあたしが、自分より弱い族の姫って。でも…な?楽しいんだよ、アイツらといると…」


あたしは、このとき
気づいていなかった。




あたしの背後にいた、“人”にー…。




話を聞かれてたなんて、

全く気づいていなかったー…。