「あたし、海入らないから。水着もいらないよ」
「じゃあ、これを買え」
はい。と渡された一着の水着。
渡したのは、
いつからここにいたのかは不明な、
純だった。
「………は?」
差し出された水着。
もちろんあたしは、受け取らない。
これは、水着を買わないという、
あたしの意思表示だから。
「これ、着ろ。海に入るぞ」
「入らねえって言ってんだろ? うぜぇ…」
なんでみんなして、あたしに
水着を着せようとするんだ?
「海に入らねえなら、来た意味ないだろ?」
「さっきからうるせぇんだよ!!あたしにはあたしの考えがあるんだよ!!入りたくねえもんは入りたくねえんだよ!!あたしのこと、何も知らねぇくせに…。他人が口出しすんな!!」
何も知らないクセに…。
簡単に言うなよなぁ…。
クソ…。
「萌奈」
「………何」
意外にもあたしを呼んだのは、
遥だった。

