「あれ? 萌奈ちゃん、水着、着ないの?」

冷やかしが一段落して、
それぞれが思い思いに、
海を満喫し始めたときだった。




悠紀が余計な一言を言ったのは。


「…………」

あたしは無言のまま、悠紀を睨んだ。
(もちろん、軽く)

「萌奈ちゃん?」

悠紀は睨まれたにも関わらず、
というか、相変わらずの
ポーカーフェイスで。

なぜ睨まれたのかは、
全くわかっていないようだった。

「持ってないから」

「あそこ(海の家)に行けば、買えるよ?」

「海に入らないから。必要ない」

「入らないの?」

「あぁ」

入らない、じゃなくて、
入りたくない、だけどな。
あ、あと、入れない。


「入らないのか?」

いつの間にか、
星夜が隣に座っていた。

「さっきから言ってんだろ? 入らねぇよ」

さっきからしつけぇな!!

あたしのことはほっとけよな…。