しばらくして、俊輔は料理を無言でテーブルに置いた。
あたしは俊輔がつくってくれた料理を食べながら、俊輔に聞く。


「…俊輔…?」
「………なに」
「ごめんね、なんかしたんだよね、あたし」
「てか、記憶ないからってああゆうこと…!」
「……………ああゆうこと?」
「………!」


あたしが聞き返すと、俊輔は明らかにしまった、という顔をした。


「え?え?あたし何したの?」
「………なんも」
「言ってよ!」
「言えるか!それ食べたら帰るからな!」


あたしがしつこく聞くと、俊輔は顔を背け、ちらばった荷物をまとめはじめた。



「ちょっと、俊輔!」



あたしはいそいで料理を食べ終えた。
そして俊輔の後ろにまわり込み、体重を預けながら聞く。


「俊輔!いい加減言いなさいよ!」


俊輔はいきなりこっちをむき、あたしをみつめながら言った。


「……しらないほうがいい」
「え?」
「…覚えてないなら…しらないほうがいい」
「……………」
「…きっと…凛は自分をせめるよ…」



俊輔はぱっと向き直って、また荷物をまとめはじめた。



「……俊輔…」
「……………」



そう呼び掛けても、言葉はかえってこなかった。