『俊輔っ!しゅーんーすーけーえ』
あたしは呼んでも呼んでも振り向いてくれない俊輔を追いかける。
やっと追い付くと、俊輔の手を握った。
『捕まえたっ!もー俊輔、なんで無視……』
『俺、俊輔じゃないけど?』
振り向いた相手は――…
玲だった。
『………れ…れ、い』
『俺のことすきって言ったくせに間違えるの?』
冷めた瞳で言う玲。
『……玲…!違う、違うの…!』
あたしは顔を赤く染め、手を振り払って歩く玲を追いかける。
『玲…!いまのは…』
『なにが違うの?』
『…え…』
『俺を俊輔と間違える。てことは、もう俊輔の存在のほうが大きいんじゃないの?』
あたしを見下ろしながら、玲は距離をつくるためにはなれた。
『…ち…違うよ、俊輔は……!』
『もういい、聞きたくない。そんな半端な凛、要らない』
『…要らないって……』
要らない、その言葉にあたしは動きを止める。
『もういいよ』
『待って!待ってよ、玲、ねえ……』
あたしが必死に追いかけると、玲はふたつに分裂した。
『…………! れ…い…?…玲ーっ!』
『凛』
優しい、心地よい声。
『……俊輔…?』
『そうだよ』
俊輔はにこっと笑った。
そんな笑顔に安心しつつ、あたしは玲の行方を聞いた。
『俊輔、玲は?!』
すると、俊輔はするどい目付きになって、
『なんだよ、凛』
と、言った。
『………え……?』
『さっきは玲と俺を間違えたくせにどっちなんだよ』
『…そ…それは…』
『また選ばないんだろ。もういいよ』
俊輔もまた、去っていこうとする。
『さっきは、たまたま…っ!あたしは玲と俊輔、見分ける自信はあるわ!』


