このときなんであたしは気付かなかったのだろう。伊藤さんがあたしを見てニヤッと笑ったのを。 あたしがそのことに気付いていれば、あんなに苦しい思いしなくてよかったのかな..... 「では伊藤さんの席は「先生、あたし諒の隣じゃなきゃやですから。」 え??ちょっと待って。諒は窓側の席だからあたししか隣はいない。 そんなことを考えていたら、伊藤さんが近づいてきた。 「あなた....たしか波月帆那美ちゃんだったよね?」