「……もう、いいよ」


20分程待った。

だけど答えは変わらず無い。


賭けに出て、
諦めたような声を出してみた。


すると朔良は慌てた様子で顔を上げて、
それから何かを言おうとして、
だけどすぐに、また閉じて、開けて……

金魚みたいにパクパクしてるから、
しょうがないから、俺から言う。


「俺の事、好き?」

すると朔良の口は落ち着いて、

「うん」

だけどやっぱりそれだけ。


「じゃあ、俺と付き合ってくれる?」

「うん」


やっぱりそれだけ。

2回目の返事は、
いつもよりも張り切った声に感じたけど。



まあ、いいか。

これから何年も、時間はあるだろう。



いつか言ってくれればいい。