「八谷(はちや)、一緒に帰らね?」 「八重(やえ)と帰るから帰らね!」 そんなやり取りを横目に見ながら、 後者の彼が来るのを、ただ机で待つ。 ひたすらに僕を構いたがる、 彼の名前は八谷 友章(ともあき) あれからずっと、 僕を構い続けて8年になる。 ただし僕に対する呼び名は、 ずっと名字のままだ。 理由は僕の名前にある。 八重 朔良(さくら) それが僕の名前だ。 さくら、と呼ばれると どうしても周りの目が気になってしょうがない。 だから彼にも、名字でよんでもらってる。