「朔良」

「何?」


初めて名前で呼ばれ、それに返す。

だけど何も続かなくて、
ただ、友章は笑っているだけだ。

そしてまた、名前を呼ばれる。


「朔良」

「何?」


「朔良」

「だから何なんだよ?」

いつにもまして嬉しそうだから、
つられて僕も笑いながら返す。

すると友章は、
さらに嬉しそうに笑っていた。



これだけでそんなに喜ぶのなら、
もっと早くに言ってくれてもよかったのに


まさかここん所の余所余所しさ、
名前で呼びたかっただけじゃないよな?


だったら、よかったけど。

いささか考えすぎじゃないだろうか。