何も口にする事なく二階の部屋に戻った穂高は、着替えもしないまま早々に布団に潜りこんだ。 満たされぬ腹に同じく、心の中にもぽっかりと隙間が開いたような感覚に襲われ、何度も大きく寝返りを打ちながら溜息を繰り返していた。 「あ~くそ、イライラする」 特に両親に何かを求めている訳ではないのに、どこか寂しさが拭いきれない言葉が布団の中にくぐもる。