「何でだよ!」

「あずみが待ってる」

 そう言って、再び笑顔を取り戻した穂高は、掌に持っていた天使の羽根を目の前に翳して見せた。

 キラリと月明かりに天使の羽根は重なり煌いている。

「保障ねぇだろうが! もう一度、運よく過去に戻れる保証なんてどこにも!」

 息せき切る高志の肩に、穂高はゆっくりと両手を添えた。そして「高志」と、力強く噛締めるように名を呼んだ。

 高志は徐に穂高の瞳を見据え、ごくりと息をのむ。