天使の羽根


 高生が手を動かす度に、その瞳から涙もまた、穂高の背中を伝い落ちていく。

 やがてその手は、ぼやけた視界に映し出されている小さなホクロに止まった。

 それは、明らかに高生が幼い頃に、何度も見た記憶のあるホクロだった。


「くっ………………父さん……」


 そう、奥歯を噛締めるように呟いた高生は、思い出の中に埋もれたはずの背中に再び触れた事で、最早涙をぬぐう事さえ忘れていた。