天使の羽根




 温かな湯気が立ち込める中、小さな湯船に二人が並ぶ。

 何も言わないまま、ただ、ゆっくりとした時間の流れに身を任せていた。

「おじさん……」

「え?」

「背中、流そうか」

「え、いや……あ、その……」

「いまさら遠慮すんなよ」

「あ、はは、そう、だな……じゃあ頼もう、か?」

 高生は苦笑いを浮かべつつも、穂高に背中を預ける事にした。

 今はまだ、自分よりも広い背中に、穂高は両手を宛がい洗う。

「君は……その……怖くないのかい?」