天使の羽根



 心にぽっかりと空いてしまった虚無の漂いを埋められないまま、穂高は家にも帰れずにいた。

 あれから、まだ高志の家に居候している。しかし、そう進めたのは史恵だった。

 ぎこちない高志と穂高の仲を気遣ったのか、解り合えるまで、納得し合えるまで傍にいるのが一番いい、と言ったのだ。

 それでも、史恵も同じ時間を過ごす事を諦めた訳でもなく、何故か毎日、藤波家に顔を出していた。

 そうして、男だけじゃ不便だろうと夕飯を作っていくのが日課になっていったのだ。

 既に穂高の、史恵への反発は消えていた。