天使の羽根



 出来る事なら、自分を殴ってほしい、そう思ったのだ。

「あずみを過去に置いてきやがって」

 高志は、何度も欄干に拳を叩きつけた。

「ごめん」

 悲しみに打ちひしがれた声で謝る穂高に、高志は振り向き、再び胸倉を掴むと、鼻先が擦れる程近く引き寄せた。

「俺はあずみが好きだったんだ! でもお前の事、あいつが好きなの知ってるから、俺は言わなかったんだよ!」